邂逅、思いがけず出会うこと、めぐり合い・・

    
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休止に一生!?
そんな大した体験はしていませんが、それでも自分自身の戒めとも言うべき逸話をご紹介します。
でも、こうした体験が元で釣りを通して接する海というものに対し、特に安全面には気を配るようになりました。
今思えば何でそんな事を!?って部分も多々ありますが、まぁ、あくまで昔の話しですので・・・(^^;ゞ

・その1
ルギ
『消えたルギ!?』

あれは確か海釣りを始めたばかりの11月頃だったと思います。
当時は良く常磐方面へ釣りに行っていて、初めて日立会瀬漁港を訪れた時の事でした。
当時からルギを釣りに連れて行く事が多かったのですが、当時はリードを放したままの事が多く、その時もリードをしないで堤防先端へ向けて歩いていました。
そして堤防先端までの最後の曲がり角を越え、後20mくらいで堤防先端に到着する辺りで、ふいにルギの姿が見えなくなったのです。

あれ? ルギはどこに行ったんだ?? もしかして先に堤防先端まで行っちゃったのかな?

でも近くを通ったような気配は感じませんでした。
港内側に一段低くなっている、幅1mくらいの通路がありましたので、そこを通っていったのでしょうか?
兎に角堤防先端まで行ってみようと、先を急ぎましたが、やはりそこにも姿はありません。
今度は先程の角まで戻って探してみましたが、どこへ行ったものか、全く姿が見当たらなくなってしまいました。
しばし考えた時、ある事に思い当たったのです。それは・・・、

海に落ちたか!?

そこで、海面をヘッドライトで照らしてくまなく探すが姿はありません。水音も聞こえません。
もし海に落ちたのならば、ハッキリと水音が聞こえるはず・・・?
一体どこに行ったんだろう??

海に落ちたのでは無さそうな事に安心しつつ、念のためにと、今度は外海側のテトラ付近を捜し始めた時でした。
「クン・・・」「クン・・ク〜ン・・・・」と、かすかな泣き声が聞こえてきたではありませんか!?

あ! テトラに落ちたのか!!

やっと気付いた私は、慌ててテトラの隙間から下を覗きこみました。そして、堤防とテトラの隙間から一番下にいるルギをついに発見したのです!
でも、こんな隙間から、しかもテトラの一番下からなんてどうやって助けだしたら良いのでしょうか??
幸いなことにルギが海に浸かっている様子はありません。
でも潮位は上がり出しているようで、ルギのすぐ足元まで海水が迫っているのが見えました。

まずい、一刻を争う状況かも・・・!?

とりあえず、着ていた防寒着や上着など、かさ張る衣服を脱いで身軽になり、再度テトラを覗き込んで救出出来そうな隙間を探す事にしました。
すると、ちょっとズレた位置に何とか体をねじ込めそうな隙間を発見しました。 でも下まで降りていくのは到底無理な大きさです。
そこで、足を一番上のテトラに引っ掛け、体を宙吊りの状態にし、ゆっくりと慎重にテトラの中に片手を伸ばしてルギを呼んでみました。
ところが、落ちたショックで怯えてしまっているのか、ルギは手から逃げて後ずさりしてしまいます。

困った・・・。

取り合えず、優しく名前を呼び掛けながら、もう一度手を伸ばしてみます。
すると今度は逃げずに近寄ってきてくれました。

よし、もう少しで手が届く!!

けれど、指の先が何とか届いたくらいで、とても引き上げられる状態ではありません。
思案した挙句、一旦上まで戻った私は、リードを手に取り再度テトラに潜り込みました。
そして、何とか片手でリードを首輪にひっかける事に成功したのです!

やった!!

後はルギの首に負荷が掛からない様に注意しながらゆっくりと引き上げ、こうしてようやく救出に無事成功したのでした。
幸いルギはどこもケガした様子は無く、本当の安心がようやく訪れた瞬間でした。

犬が自分から海におちることは滅多にないでしょうが、そこは狭い段差になっていて、 上がってすぐにテトラとの境があったために、飛び上がった時に勢い余って落ちてしまった模様でした。
・・・・
実はそれから数年後の事ですが、狭い塀の上に飛び上がったルギが、勢い余って反対側に転落したのを目撃した事がありました。
きっと当時もそんな状況だったのでしょう。
これにより、その後は必ずリードをするようになったのは言うまでもありません。
砂浜などでは放す事もありますが、磯に行くようになった今もそれは変わりません。



・その2
夜の漁港
『冷静なつもりでも』

「このまま流れていったらどうなっちゃうんだろう・・・?」
プカプカと真っ暗な海に漂いながら、そんな事を考えていました。
・・・・
あれは数年前の1月の事だったと思います。

釣りを終え、さあぼちぼち帰るか!とした時の事でした。
そこは岸から沖に大分離れた場所で、干潮時は歩いて渡れるのですが、満潮の時は足が届かずに体が浮いてしまう、つまり状況によっては多少の"泳ぎ"が必要になる場所でした。
そして帰りは満潮に当たっていました。
ですが、その時の私は今まで背負子を担いで泳いだ経験が無いにも関わらず、泳いで帰る事に何の不安も恐れも感じていませんでした。
何故なら、まともに泳いだ事は無かったのですが、2〜3m程の溝を渡った事はあり、それを泳いでも大丈夫!と、勘違いしていたからです。
その時の私は、2〜3mの溝と今回の場所では大きく違うという事に、全く気付いていなかったのです。

そう、それは慢心からなるものでした。

その結果、冒頭にあるようにものの見事に流されたという訳です。
そして、その時に同行していた方からも指摘されていたのですが、当時の私の装備は防水面をほとんど考慮したものでは無かったのです。
当然、流されていくうちに背負子は浸水して沈みはじめます。
私はライフジャケットは毎回着用していましたし、その時はドライスーツも着用していましたので、自分が沈むという事への不安はありませんでした。
ですが、担いだままの背負子が浸水しはじめた時、それまで冷静でいたつもりがパニックを起こしていたのだと思います。
流されたといっても、5mも泳げばつかまれる場所などがあったにも関わらず、背負子を脱ぎ捨てた後もプカプカと浮いてるだけで全く自力で泳ごうとしなかったのです。

いえ、出来なかったのでしょう。

そして異変に気付いて戻って来てくれた同行者に無事救出され、大事に至らずに済みました。

もし、単独行動であったならどうなっていた事か・・・・。

そう考えると今でも恐ろしくなります。

釣り道具なども全て失いましたが、失ったものより得られた事の方が非常に大きかった一件でした。
それからと言うもの、自分の背丈にあった釣場を選択するようにし、また、万が一にも備えてプールにも通うようになりました。
プールに通って分かったのですが、背負子を担いで泳ぐ事は相当難しいことである、という事です。
むしろ、そんな事をしようという気すら無くなる程でした。
そして装備の方も防水面に配慮したものを用意し、万が一に備えています。



・その3
荒磯
『無理は禁物!』

それは5月の初め頃だったと思います。
ある磯に入った時の事ですが、実はその磯には以前に1度しか入っておらず、今回でようやく2度目といった状況でした。
午後くらいから入磯して夕まずめを狙い、そのまま夜も少し竿を出して納竿する、そんな予定を立てており、 そして夕まずめ過ぎに満潮を向かえるといった潮位廻りでもありました。

さて、入磯したばかりの頃は比較的穏やに感じた海況も、潮位が上がるとともに荒れ始め・・・、いや、
もしかすると潮位が低かったが為に気付いていなかっただけで、その兆しは最初からあったのかも知れません。
現にある程度潮位が低かったにも関わらず、随分と前から時折、釣座には波飛沫が飛んで来てもおりました。
そして日も翳り始めた頃、潮位もかなり上がってきており、さすがにその頃になると身の危険を感じる程に波やウネリも高くなっており、 ついには今までいた釣座を諦め、かなり後方の安全と思われる場所まで撤収せざる得ない状況にまでなっていました。

それでもしばらくは釣りを続けていましたが、その内に釣りすら出来る状況ですら無くなり、釣果の方もボーズでは無かった事もあって早々に納竿する事にして片づけを行い、 撤収しようと帰り道の様子を見た時、その目に飛び込んできた光景に愕然としてしまいました。
何故なら・・・

退路が完全に断たれてる!?

そうです、帰り道でもある磯には物凄い勢いでウネリが押し寄せており、とてもじゃありませんが到底通れるような状況では無く、 しかもその場所を通るしか帰る方法も無いのでした。
かなり困り果てたものの、すぐ側に高台となってる場所があったのでそこに避難出来たのは不幸中の幸いと言えるでしょう。
そこでしばらく様子を見る事にしたものの、今現在はまだ満潮をようやく過ぎたくらいの潮位、
安全にそこを通れるくらいの潮位に下がるには、恐らくまだまだかなりの時間を要する事でしょう。

3時間? はたまた4時間後か??

実はここで新たな問題が発生しました。
それは、

目茶苦茶寒い!!

散々波飛沫を被っていたせいで衣類は全身ズブ濡れ、
日差しのある日中は暖かったとは言え、さすがに今はまだ5月、日が落ちてしまうと一気に気温が下がります。
そして濡れた衣類は容赦無く体温も奪っていくのでした。
待機し始めてから3時間ほど経った頃にはついには寒さも限界を越え、このままではまずいかも?という別の不安が頭をかすめ出しました。
そこで、先程の通り道の様子を伺ったところ、うまくウネリのタイミングさえ合わせれば、何とか通れそうなくらいまで潮位は下がっているようにも見えました。

よし、行ってみよう!!

そう意を決し、慎重にウネリの感覚を計りつつ様子を伺い、ついにはそこを通り抜ける事に成功しました。
「やった!」と、ほっと胸を撫で下ろし、動悸が落ち着くのを待ってから再び歩き始めました。
途中、何ヶ所かにある "難所" をどうにか越え、道程もようやく半分を過ぎようとしておりました。
そして海中から所々頭を出してる大岩を足場にしながら、ピョンピョンと渡っていかねばならない場所に差し掛かった時の事です。
しかも渡り始めてから大分進んだ場所で、そのあまりの驚愕する光景に、ここまで順調であった歩みを止めずにはおれませんでした。

完全に水没している!?

いえ・・・、
一見、完全に水没しているようにも見えましたが、実際には押し寄せるウネリが荒過ぎて足場がほとんど水没している状況だったのです。
それだけで無く、今現在立ち止まってるいるこの場所でさえ、時折押し寄せる大きなウネリには呑み込まれているような状態で、先程のように待機してる余裕もありません。

・・・ザブン!

考える間もなく、わずかに海中に見えてる足場を頼りに足を踏み出しました。
そして、何度もウネリに飛ばされそうになりながらも、どうにかこうにか "最後の難関" をクリアする事が出来たのでした。
・・・そう、ここが正真正銘 "最後の難関" だったようで、後は危険な場所は一切なく、すんなりと磯場を出る事が出来、ようやく本当の安堵が訪れたのでした。


今回の反省点を挙げるなら、
1.潮位に応じての危険性の確認を怠った。
2.波やウネリに伴う危険性の確認も同様。
3.濡れても保温性を保てる装備で行かなかったこと。

細かく言えば他にも沢山あるでしょうが、大きく分けるとこの3ヶが考えられると思われます。
中でも 3.が一番の反省点で、これだけでもしっかり確保出来てれば、あんな無理をしてまで戻ろうとは考えず、せめて、もっと潮位が下がってから戻る事も可能だったに違いありません。
寒さに我慢出来ずに無理をした結果、進退窮まる事態に陥り、今回は良かったものの一歩間違えば・・・?
不測の事態になっていたとしてもおかしく無い状況だったと思います。

この磯ですが、実は今ではかなり良く行く釣り場にもなっております(^^;ゞ
そして、この教訓のお陰で安全面への配慮は他の釣り場の中でも郡を抜いてなされています。
まぁ、当然と言えば当然のことでしょう・・・?
それだけ強烈な体験だったのですから。



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